photo: R&G Photography
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2014年
02月22日

天国に旅立ったクラウディオ(マエストロ)


 クラウディオ・アッバードさんと初めてご一緒したのは、ルセルン音楽祭での「トリスタンとイゾルデ」の第2幕公演だった。普段指揮者をそう呼ぶように「マエストロ」(巨匠)と呼ぶと、「僕はマエストロじゃない。クラウディオ」と言われた。私が生まれる前からずっとファンとおっしゃる方も多いと思うが、本人のお達しなので僭越ながら「クラウディオ」と呼ばせて頂く。


 彼は稽古中「このテンポで歌い難くないか?」「指揮が見えにくくないか?」「舞台のここで座って待つのは大変だろう、こっちの方が良いよ」と自ら私の椅子を動かすような、心から優しい人だった。本番前出番を待っていると「ミホコ!こんなところで何してるの!?おいで」と言われ、恐る恐る彼の楽屋に入ると気が置けない4-5人で、彼らしく静かにお茶を飲んでいる。ご存知の通り選り抜きの音楽家ばかりを集めたオーケストラの皆さんも、クラウディオとの演奏が楽しくて仕様がない様子だった。


 一度だけ彼の別の顔を見たことがある。オーケストラ稽古に少し遅れるとのこと。彼の若い助手と稽古し終わると、舞台袖で丁度着いた彼と鉢合わせになった。ギラギラな眼で寄って来て言う、「僕の助手はどうだった?」。若手の育成が彼のライフワークなんだと、身にしみた瞬間だった。彼の最後の公演となってしまった昨年のルセルン音楽祭では、一緒に出る振りをして結局私一人を舞台に送り出して、私だけに拍手を独占させるように仕掛けたり、ベートーベンの交響曲が終わると、第一バイオリンの後ろに隠れて会釈するような人だった。


 あんなに気を遣うクラウディオだから、胃がんになってしまったのかなと思う。「『ミホコは世界一だから』と最初僕に推薦した人達は、正しかった、今度は一緒に『少年の魔法の角笛』をやろうよ」と言ったっきり、天に召されてしまった。人生の全てを音楽にのみ捧げ、作品や音楽に対して底なしに謙虚だったクラウディオは、真の「マエストロ」なのではないだろうか。こう書くといつか天国で「クラウディオだよ!」と怒られるのだろうか。


 奇しくも彼が言う1年半前から、この3月に日本で行う歌曲の夕べに「角笛」を用意していた。今までの歌曲の夕べは全て東日本大震災の被害者の方々に捧げてきたのだが、今回はクラウディオにも共に捧げたいと思い、全アンコール曲を変更した。クラウディオ、天国では誰にも気を遣わず、音楽の神の翼に守られて、ゆっくり休んでください。

2014年2月6日東京新聞夕刊


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2013年
10月31日

2013年11月29日の演奏会について


 どうしても忘れられない演奏会というものがある。私の「ヴェーゼンドンクの詩による歌曲」(長い名前ですね)の楽譜にはプログラムが張ってあって、それはロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団とクリストフ・ウルリヒ・マイヤーとの演奏会のものである(この二つも長い)。


 マイヤーと出会ったのは、1995年のバイロイト音楽祭だった。私はまだミュンヘン音大の学生だったのだけれど、ワーグナーコンクールに入賞した所為で、ブランゲーネのカヴァーで契約した。若いというのにマイヤーはバイロイトの全指揮者に信頼されているだけでなく、総裁であるヴォルフガング・ワーグナーさんとそのご一家、オーケストラ、全歌手、合唱、合唱指揮、それに不思議なことに演出家と演出助手にまで到る、全員に信頼されている様子だった。それもそのはずワーグナーの全作品とバイロイト祝祭劇場の音響について、隅から隅まで記憶、知り尽くしている。20年連続で音楽祭に呼ばれている原因だろう。エブリボディーズ・ダーリンとかサニーボーイとか言うのではない。この人がこう言うんだから「そうだよな」と納得してしまう、不思議な人である。


 そんなマイヤーが病気のファビオ・ルイージさんに代わって、2007年バイロイト音楽祭で「タンホイザー」全公演を振った。まるでオーケストラの1人1人が「おれっちのクリストフが振ってるんだ、一番の音を出してやろうじゃないの」、そんな思いで皆、密かに結ばれてるんじゃないか、そんな印象だった。一音一音がクリスタルのようにきらきらと輝いて、しかし大きなフレーズ、全体像を失わない素晴らしい演奏で、各誌も大絶賛だった。


 ある日自宅に電話が入った。「ロッテルダムだけどメゾが病気で、クンドリーの語りのアリア(とはワーグナーでは言わないのですが、相手が言うので一応)とヴェーゼンドンクの代役お願いできるか」「それは出来るけど、指揮は誰?」「クリストフ・ウルリヒ・マイヤー」。二度返事で引き受けた。演奏会中、ワーグナーはこういう音を求めていたんじゃないかと、ずっと思っていた。特にパルジファルの間は、涙が出ないようにするのに必死だった。全客席スタンディング・オベーションで、「これ一回きりっはもったいない」とオーケストラのディレクターの方と何度も何度も話し合った。


 そんな話を新日本フィルにしたら「じゃ、やろうじゃないの」と、腰を上げてくださった。本当にありがたい話である。ワーグナーがその作品から多大な影響を受け(コピーし)たといわれるマルシュナーと、イゾルデの愛と死、パルジファル組曲に今回はマイヤーがクンドリーの“あの“場面を増やして編曲し直してくれた。日本でのクンドリーはまだかと記憶しているし、ワーグナーイヤーだし、今からとっても楽しみにしている。


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2011年
6月14日

東日本大震災被災者チャリティーコンサート報告


 2011年4月10日東日本大震災被災者チャリティーコンサートでは、沢山の方が足を運んで下さったおかげで多くの義援金が集まりました。その内訳及び配分は以下の様になりました。


収支総額25,201,931円 

1.被災者救援のための義捐金として
  NHK,中央共同募金会、日本赤十字、NHK厚生文化事業団 11,201,931円

2.仙台及び福島の各コンサートホールの修復費のために
  宮城県文化振興基金500万円
  福島県文化振興事業団 400万円
  財団法人福島県郡山市文化まなび振興公社 100万円

3.被災者を励ますための各種コンサート実施費用の支援として
  仙台市音楽の力による復興センター 200万円

4.被災したペットを救済するための支援として
  アニマルフレンズ新潟 100万円

それぞれ寄付されることとなりました。

これとは別に、当日ロビーでの募金活動で集まった義援金はなんと1,256,984円となり、NHK,中央共同募金会、日本赤十字、NHK厚生文化事業団に寄付されました。

グラーツで専属歌手をしていた頃、耳の聞こえない子供たちの施設に毎月寄付していたのですが、その5年間の寄付金でゴング(どら)を購入し、体に床からの振動を感じる授業に役立てていると聞いて、本当に嬉しく思いました。現在「国境なき医師団」に寄付していますが、ここの年間報告書にはどの国のどの村でどれほどの寄付金がどのような活動に使われたかが1セント単位まで記されていて、「こういう団体だったら間違いないな」と確信させてくれます。

開催者でもなく、ただお声が掛かっただけの一員として厚かましいのですが了解を得て、皆様のチケット代と募金がどのように使われるかを報告させて頂きました。

ひとりの力は小さく感じるかもしれませんが、そのひとつひとつが集まると何にも代えがたい偉大な力にになるという事をつくづく感じています。皆さん誠にありがとうございました。心からお礼申し上げます。

藤村実穂子

追伸
今回東京でのコンサートはズビンが熱望して実現されましたが、彼はその後ドイツでもチャリティーコンサートを開いてくれました。バイエルン州立管弦楽団、バイエルン放送交響楽団及びミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団が合同で一つのオーケストラ及び合唱団を作り、過密なスケジュールの中を日本の被災者の方のために動いてくれました。集まった13万ユーロ(約1千4百80万円)は全額日本赤十字に寄付されるそうです。日本人として大変嬉しくありがたく思いますので、こちらも報告させて下さい。


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2011年
4月18日

おっきな人


 3月11日の東日本大震災の際、ズビンはフィレンツェ歌劇場日本公演のため日本にいて、地震と原発事故を体験した。(「地震はよく知ってたけど、今回のは激しくて長かったよ」と教えてくれた。) すぐ帰ろうと用意するソリスト、オーケストラ、合唱に「このまま日本にいて」と、一人一人に直接話して説得したのだけれど、フィレンツェ市長が出国命令を出したため、結局皆行ってしまった。自分は日本に残って被災者へのチャリティー・コンサートを行うことを強く希望したのだけれど実現に至らず、上海、蘇州、台南、台北、ムンバイ、ブタペスト、モスクワ、サンクトペテルブルクでの公演にむかわなくてはいけなくなった。でもその間あきらめたわけでなく、サントリーホールのMさんをはじめ多くの人に、日本でのチャリティーコンサート実現を熱烈に頼んでいた。その皆さんのおかげで今回のチャリティーコンサートが実現する運びになった。

 サンクトペテルブルグからソウルに一旦停止して、日本人乗務員に代わる便で(飛行機の中で「どうして日本に直接行かないんだ」と激しく抗議した。「日本の人は冷静に、普段の様に暮らしてるじゃないか。怖がるのはあなた達だけだ。」と。)日本に到着し、その2時間後オーケストラ、ソリスト、コーラス及び合同の各稽古をこなし、翌日全員での稽古、その翌日ゲネプロ及び公演をした。


 演奏会ではズビンの思いと我々の思いで一つのうずができ、全てのお客様、オーケストラ、合唱、ソリストがひとつになってしまった。特別な時(あの時間に時間が存在していたらの話だけれど)が生まれ、皆がいる空間が重力から解放されて上に向かおうとしている様な、不思議なうずだった。音楽の力をあらためて感じ、「全ての人類が兄弟になる」という歌詞が身にしみた。この歌詞がくる度に、彼は指揮するのを止めて、ただ両手をひろげていた。そして一番大切なのは、ここに偶然いあわせたひとりひとりが同じ思いを共有していたことだと思う。それは言葉に出来ない何かだった。

 カーテンコールの合間に「もう何回も言ったけど、本当にありがとうね、ズビン、私の言いたい事、分かるよね」と言ったら、彼は何も言わずにずっと肩を引き寄せて、ずっとそうしていてくれた。奥様のナンシーさんは涙を一杯ためながら来て、ズビンとずっと抱き合っていた。とっても素敵な光景だった。


 翌日10時からのリハーサルのため、演奏後ズビンはすぐに空港に向かわなくてはいけないのだけれど、別れ際に「ミホコ、今日の演奏と、11月のここでのマーラー3番、ほんとにありがとうね」と言ってくれた。疲れきっているはずなのに、なぜ前公演の事まで思い出して気を配れるのか、私の頭では理解できない。もし私が74歳でこのスケジュールをこなしていたならば、まず無理だと思う。

私は歌手以外の仕事をしたことが無いので、それ以外の仕事の事はよく分からないけれど、歌うたいでよかったと思う時もあるし、思わない時も無いといったら嘘になる。でも今日は心から、歌うたいでよかったと思った。


ズビン、日本人として、人間として、ありがとう。あなたはでっかくて、おっきな人です。 
Mihoko

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2011年
4月10日

被災者支援チャリティーコンサート「第九」


4月10日東京文化会館で、被災者支援チャリティーコンサート「第九」が開かれます。
被災者の方に何かしたいという気持ちで一杯だった私は、ズビンからお話を頂いて二つ返事でお受けしました。外国人のアーティストたちが原発をおそれてキャンセルし続ける中、ただでさえ多忙を極めるズビンが、わざわざ来日して被災者のためのチャリティーコンサートを開いてくれることに、感銘を受けました。またバスは韓国のアッティラ・ユン。歴史上問題があるのに日本のために、彼もわざわざドイツから駆けつけてくれました。

世界が被災者を応援していてくれること、日本人として嬉しくて仕方がありません。歌詞の通り、まさに「全人類が兄弟に」なる瞬間です。コンサートの収益は全額、被災地への義援金として寄付されます。上野公園の桜も今がちょうど見ごろ。皆さんどうぞいらしてください。 藤村実穂子

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2011年
4月09日

原発と新エネルギー


変な前置きですが、まずこのタイトルを見て読む気がしないと思った方は、このサイトだけは読んでください。www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html


この方のサイトは「私は原発反対運動家ではありません」と始まっています。私も原発反対運動家ではありません。ただ原発について調べていきたいと思います。

チェルノブイリやスリーマイル島の事故は外国でしたが、日本での事故はどの位あったのでしょう?

日本国内の原子力事故

1973年3月 美浜原子力発電所燃料棒破損
美浜一号炉において核燃料棒が折損する事故が発生したが、関西電力はこの事故を公表せず秘匿し、事故が明らかになったのは内部告発によるものである。

1974年9月1日 原子力船むつ 放射線もれ事故

1978年11月2日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故
戻り弁の操作ミスで制御棒5本が抜け、午前3時からゆっくり修正し終わる10時半までの7時間半臨界が続いたとされる。事故発生から29年後に発覚(2007年3月22日)。

1989年1月1日 東京電力福島第二原子力発電所3号機事故
原子炉再循環ポンプ内部が壊れ、炉心に多量の金属粉が流出した事故。レベル2。

1990年9月9日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故
主蒸気隔離弁を止めるピンが壊れた結果、原子炉圧力が上昇して「中性子束高」の信号により自動停止した。レベル2。

1991年2月9日 関西電力美浜発電所2号機事故
蒸気発生器の伝熱管の1本が破断し、非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動した。レベル2。

1991年4月4日 中部電力浜岡原子力発電所3号機事故
誤信号により原子炉給水量が減少し、原子炉が自動停止した。レベル2。

1997年3月11日 動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化施設火災爆発事故。
低レベル放射性物質をアスファルト固化する施設で火災発生、爆発。レベル3。

1998年2月22日福島第一原子力発電所第4号機
定期検査中、137本の制御棒のうちの34本が50分間、全体の25分の1(1ノッチ約15 cm)抜けた。

1999年6月18日 北陸電力志賀原子力発電所1号機事故
所長も参加する所内幹部会議で隠蔽が決定された。原発関連の不祥事続発に伴う2006年11月の保安院指示による社内総点検中、報告が出た結果、2007年3月公表に至った。レベル1-3

1999年9月30日 東海村JCO核燃料加工施設臨界事故。日本で3番目の臨界事故で、作業員2名が死亡。レベル4

1995年12月8日 動力炉・核燃料開発事業団高速増殖炉もんじゅナトリウム漏洩事故
2次主冷却系の温度計のさやが折れ、ナトリウムが漏洩、燃焼。レベル1。この事故により、もんじゅは15年近く経った2010年4月まで停止を余儀なくされた

2004年8月9日 関西電力美浜発電所3号機2次系配管破損事故逃げ遅れた作業員5名が熱傷で死亡。レベル0+。

2007年7月16日 新潟県中越沖地震に伴う東京電力柏崎刈羽原子力発電所での一連の事故

2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故 レベル7


その他
2003年4月15日東京電力の全原発が停止
2002年10月28日に発覚した原発事故隠しの影響で、東京電力管内全17原発が点検のため停止。

福島第一原発は以前からかなり問題を起こしてきたこと、また多くの原発事故が日本で起こってきたこと、原発事故と秘匿行為は切っても切れないもの、そして原子力発電は今回の事故で「数百年先まで負の遺産を残す」ということが明確になりました。
では原子力発電の意味とは一体何なのでしょう?

・・・事前の知識として
・水力と原子力は、フレキシブルに発電できない。つまり一定の電力を発電し続けることが得意
・火力発電(石油、石炭、天然ガス等)は柔軟に対応できるが、地球温暖化の元とされる二酸化炭素が大量に発生する
・水力発電は大量の水が必要だから、深夜から未明の余剰電力でダムに水を引き上げている
・東京、東北、北海道電力は50Hz、その他の電力会社は60hzと周波数が違う
・日本は国土面積比率において世界第1位の原発保有国


原発には、一体長所があるのでしょうか?

原子力発電の長所
・安定した電力供給が可能
・発電時に 地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない
・重油等燃料の外国依存度を減らすことが出来る
・海外に対して技術力の高さを威張れる

短所
・重大事故は周辺環境に多大な被害を与え、その影響は地球規模に及ぶ
・放射性物質である核廃棄物を作り出す
・高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決定していない
・核物質を多く輸入するので核兵器を作るのではないかと海外から思われてしまう
・何かの際、止めるのに時間がかかる
・火力発電所と比べ、施設建設に多大なコストがかかる
・発電施設および核廃棄物へのテロの危険
・若手技術者が減少し、将来の担い手がいない。きちんとした知識をもって扱える人が少なくなっている
・原子力発電所の新規建設数が減少していることからメーカーの原子力部門における技術の継承が困難となってきている     



福島第一原発事故は世界中でどう受け止められているのでしょう?

福島第一原発事故による世界の動き

・イスラエル、原発計画断念

・ベネズエラ、原発計画断念

・中国、新規建設計画を一時停止 
急増するエネルギー需要を背景に、今後60基建設する計画だが、国民の不安が高まっていることを考慮し、新規原発の建設計画の審査と承認を一時停止した。政府は「導入予定の原発は、より安全な新世代」と安全性を強調する発言を続けている。

・トルコ、続行表明 
日本と同じ地震国のトルコは、エルドアン首相が「(2019年運転開始予定の黒海沿岸の)原発計画を停止する考えはない」と表明。

・ヨーロッパEUは、14ヵ国で計143基の原子炉すべての安全性検査実施を決定。

・フランス(世界第2位59基の原発保有)電力 供給の8割近くを原発に依存するフランスのサルコジ大統領は、EUの年内安全テスト実施を受け「テストでもし危険と判定されたら、その原発は閉鎖されるだろう」との考え を表明した。欧州最大の原発メーカーであるフランスのアレバは「信頼回復が極めて重要」と、対話に努める姿勢を強調するが、事故を機にライバルである日本メーカーが商戦から脱落する可能性が高いとの計算も働く。

・イタリア、1987年チェルノブイリ原発事故を受けた国民投票で原発廃止を決定以来、原発新設を凍結してきたが、ベルルスコーニ首相はフランスの協力で国内4か所に原発を新設し、2020年の運転開始を目指していた。福島原発事故を受け再開計画の一年間凍結を閣議決定したが、ロマーニ経済発展相は原発再開計画を凍結する間も「原発用地の調査は始める」と説明し計画自体を断念する考えはないことを強調。

・ドイツ政府は2001年、原子力発電の利用を2021年までに止める方針を打ち出していたが、メルケル政権はその計画を2033年までに延ばしていた。事故後、国内の原発17基の稼働延長が3ヶ月間凍結され、同国内の原子力発電所のインフラ設備の再点検を宣言し、また環境にやさしい再生可能エネルギー利用への25年変遷計画を早める方針を決めた。福岡原発の事故を受けて、3月26日4大都市で25万人がデモに参加し、犠牲者への黙祷の後「フクシマ(第一原発事故)は警告する、全ての原発を止めろ」などのスローガンを掲げた。その翌日二つの州で州選挙が行われ、党の開設以来原発反対の姿勢を貫いてきた緑の党がそれぞれ2倍と3倍の票を得て、ドイツ人の原発、環境問題への関心の高さをはっきりと示した。また大敗した党が「11ある原発のうち8基を止めるべき」と方針を大幅に変更、環境庁長官も「全ての原発を止めても現在の電力レベルは供給可能」と発表するなど、原発停止に変更する向きが高まっている。

・スイス政府は国内の3カ所での原発の改修と新規建設が凍結された。2年前の世論調査では賛成が73%だったのに対し事故後は反対派が87%を占めた。

・アメリカ(世界最多104基保有)、1979年のスリーマイル島原発事故以後、原発の新規着工を凍結してきた米国は2010年着工容認に転じ、現在は24基の新設計画が進行中だ。しかし福島第1原発事故後のテレビ世論調査で新規原発建設支持派が43%と、2年半前に比べて14ポイント減少するなど国民に不安が高まっていることに配慮し、安全性の検証を急ぐよう原子力規制委員会(NRC)に指示した。ただ、米政府は原発建設の凍結はしておらず、ジョージア州の原発2基向けに約83億ドルの融資に対する政府保証を決定、3月25日にはNRCが「ボーグル発電所で建設許可の妨げとなるような環境への悪影響は見つからなかった」と発表し、原発建設への事実上のゴーサインを出した。

福島第一原発事故による世界各国の動きを見ると、この事故を受けて原発の建設を中止した国などがあり、かなりの注目を集めていることが分かります。
では将来、経済に不可欠な電力を原発に頼ることなく安定して供給していくことは可能なのでしょうか。新しい発電は世界でどう取り組まれているのでしょうか?


世界の新発電

デンマーク
1985年に原発を全廃し、現在電力の20%を 風力発電でまかない、2050年には化石燃料(石油、石炭など)フリーの国を実現しようと政策、科学技術を結集中。 バイオマス(生ごみ、農作物の残り、堆肥)ガスの開発・実用も進 んでおり、バイオ燃料プラントも既に実用。また世界最大のバイオ燃料プラントも現在建設中。

アイスランド
電力の100%を地熱発電でまかなっており、全EUの使用電力の半分(日本の使用電力の2倍)をも供給する発電力を保有。

スペイン
再生可能エネルギーへの取り組みで知られるスペインは、再生可能エネルギー全体の割合は42.2%で、そのうち風力は21%に達し、水力17.3%、太陽光2.6%、原子力19%、石炭火力12.9%などとなっている。

イギリス
北海沖合で計画している世界最大級の洋上風力発電プロジェクトは、2020年までに英国内のすべての家庭(2500万世帯)で使う電力を賄うものだという。

オランダ 
オランダの沖合い23kmの地点に、高さが60階建てのビルに相当する巨大な風力発電を建設したほか、世界初の坑廃水を利用した水力発電所が操業を開始。閉鎖されたふもとの鉱山の坑内水など天然資源の持続的利用が目的で、地元の商店、図書館、大規模オフィスビルほか200世帯以上向けに冷暖房の電力を供給する。またある試みではディスコで客が踊ったり跳ねたりする際のフロアの振動を利用して発電し、2000人程度が踊っていれば店内を明るくでき、30%程度の節電効果。府の目標としては2010年に再生可能エネルギーが総発電量に占める割合を10%にするという目標も存在している。

スウェーデン
1979年のスリーマイル島事故の翌年1980年に原子力を巡る国民投票を実施し、その30年後である2010年までにスウェーデン国内の原子力発電所を全廃することを決めた。豊富な水源を利用して電力供給量全体の45%を水力発電で供給。エネルギー消費を減少させるとともに再生可能エネルギーからの電力を増やすため、バイオマスエネルギーや風力発電の普及に努めている。


日本の新発電現在状況
日本はものづくりの国といわれてきました。原子力発電は一過性の方法とし、今後二酸化炭素を発しない、クリーンエネルギー、新しい発電の開発を日本の新しい目標とし、世界をリードすることが求められています。

クリーンなエネルギーと聞いてすぐ頭に浮かぶのが太陽光発電ですが、あと3~5年の技術開発で太陽電池で現在の商業電力をまかなえるようになるそうです。太陽電池の価格が商業電力の価格より安くなれば、自然に太陽電池は普及します。同時にリチウム2次電池の開発も進められていて、あと5年ほどで、現在の3倍の容量になり低コスト化が進められるということです。太陽電池で発電し、リチウム2次電池を使用した大容量蓄電池に充電をして安定供給が出来る事を大いに期待したいものです。特に消費電力が俄然と上がる夏には、太陽光発電は強い味方です。

もうひとつ思い浮かぶのは風力発電ですが、49,405基の浮体式風力発電機を設置すると、東京電力の電力はほぼまかなえるということです。ただ台風や漁業の影響も考えないといけません。

将来の新しい発電―新エネルギー
いわゆる新エネルギーといわれるものには以下のような物があります。

・高温岩体発電(ジオサーモピア) 天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る。地熱利用の機会を拡大する技術として期待されている。 既存の温水資源を利用せず温泉などとも競合しにくい技術とされ、38GW以上(大型の原子力発電所40基弱に相当)におよぶ資源量が国内で利用可能

・地熱発電、地熱によって生成された天然の水蒸気をボーリングによって取り出し、その蒸気により蒸気タービンを回して発電。

・太陽熱発電、太陽光を太陽炉で集光して汽力発電の熱源として利用する発電。太陽光発電よりも導入費用が安いほか蓄熱により24時間の発電が可能である。燃料を用いないため燃料費がかからないほか二酸化炭素を排出しない

・宇宙太陽光発電、宇宙空間で太陽光発電を行い、それによって得た電力を地上に送る。

・波力発電、水面の表面波のエネルギーを利用し、面積あたりのエネルギーとして、太陽光の20~30倍、風力の5倍である

・潮力発電、潮の干満で海水が移動するエネルギーを電力に変える発電で、出力の正確な予測が可能で、安定した電力供給が行える

・海洋温度差発電、海洋表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電

・マグマ発電、マグマだまり近傍の高熱を利用する発電。開発に50年かかると言われるが、潜在資源量は60億kW(6000GW)と見積もられ、これは日本の全電力需要の3倍

・燃料電池発電、燃料の化学エネルギーを直接電力に変換する発電。部分出力でも発電効率が良い。

・MHD発電、ファラデーの法則に基づきプラズマなどを用いて発電する。

・小水力発電、小さな水源で比較的簡単な工事で発電でき、中小河川、農業用水路、上下水道施設、ビル施設、家庭などにおける発電が可能、小型風力発電機という物もある)

・熱電発電、温泉水と河川水などの温度差を利用して熱電変換素子により発電する。

・振動発電、圧電素子と振動板を組み合わせることにより、音や振動のエネルギーを電気エネルギーに変換する発電

・床発電、人が歩いたりモノが移動したりする際に生じる圧力のエネルギーを利用した発電。歩行した際や車が通過した際などに生じる圧力のエネルギーを、効率良く電気エネルギーに変換する。この発電は床型の装置を設置するだけでどこでも発電可能。

日本には水も海も地下温水も地熱も豊富です。なぜ他国で出来て日本で出来ないのか、疑問です。

新発電の課題
・新しいエネルギー開発拠点は、今回の原発事故で多大なる影響を受けた福島県にし、復興のシンボルとして世界に発信
・太陽発電パネルが台風に弱い欠点を企業は再考し、普及に努める
・電力供給を電力会社だけに頼る集中発電型から分散型のエネルギーシステムの再考
・企業や工場、ビルはソーシャルコミットメントとして太陽発電など自発電を当然化し、不足分を電力会社からの需要とする。
・総合電気メーカーは今後製作する電気機器全てに待機電気を切る機能をつけ、政府はこれを義務付ける。また電気機器発売の際、消費電力(待機、使用時)の表示を義務付ける。
・輪番停電でも明らかになった日本の一都市集中問題を、どの程度緩和できるか再考する
・今後電気自動車の普及に伴い、震災時、事故時の対応を再考する
・各電力会社間の電力融通システムの再考


福島原発事故を受けドイツでの反原発デモは25万人、翌日小都市各地でも何千万人が集まり、その後毎日曜日に各地で何十万人ものデモが続いています。福島第一原発は世界中の注目を集めており、今後もニュースのテーマから外れることはないでしょう。
ドイツの緑の党が「原発を止めろ」と叫んでいた頃、「では原発に変わるエネルギーは何なのか示せ」という問いに、彼らは「新エネルギー」の一点張りで、彼らにこう冗談を言う人もいました、「そう、そう、電力はコンセントから発電されるんだよね」。

世界のテレビでは「ヒロシマから学ばなかった日本」というタイトルで、「原子爆弾であれほど被害を受け、毎年ヒロシマとナガサキで被爆者追悼式を大々的に行うのに、原子力発電はなんと54基」とレポートしていました。原子力兵器を載せている疑いのある外国の艦船が、日本の港に入港してくると大騒ぎになるのに、自国に54基もの原子力発電所を保有しているのは、確かに建前と行動が伴っていません。しかも、現在2基の原子力発電所が建設中、11基が将来建設予定です。
 
冒頭にも書きましたが原発の現実、実情を知らせる www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html を読んで寒気がし、一体こんなことが原発の裏で行われていたことを知ると、戦慄が走ると同時に、ひたすら隠すだけの電力会社や政府に対し激しい怒りを覚えます。しかしこの現実を知らなかった我々にも、責任があるのかもしれません。コンセントを差し込めば電気がくると思っていた(思っている)のも事実かもしれません。 電力のうちの26,8%の原子力発電のために、従事する人々の生命が放射線で短くなるだけでなく、事故により、世界唯一の原爆被爆国日本が脅かされるのも事実。京都議定書での二酸化炭素排出量を守るため、また日本産業を脅かさないために、比較的新しい原発も選択肢の一つにしておきながら、子供や孫の世代に負の遺産を残さないため、新エネルギーへの乗換えを(たとえ短命な日本の政治家生命とはいえ)長いスパンで計画実行していかなければならないのかもしれません。原発に反対か賛成かは皆さんの判断にお任せします。ただ私が一番恐れているのは、今回の大震災と、原発事故が忘れ去られること、これのみです。

「自然界には災害はなく劇的な変化がある。その変化は地震や津波のような形で人間の住んでいる所に届いて、初めて大災害となる。地震のある所に原子力発電所を立てるのを決めるのは『自然事象』ではなく『政治の決定』である。」(ウルリヒ・ベック・社会科学者・独・フォークス誌)


出典、参照www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/原子力事故,
http://www9.plala.or.jp/hirakawa-nen-h/denki.html,
http://www.jca.apc.org/~altmedka/ron-41-hot-1.html,
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20100204/179952/
http://eetimes.jp/article/23087

毎日新聞、東京新聞

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2011年
4月01日

節電は被災地のためになるのか


前回の「我々に出来ること」で「節電した分(を被災地に)寄付する」と書きましたが、もとの題名は「節電する」でした。しかし節電することが本当に被災地の役に立つのかという議論が起こっている事を知り、まず既知の様なタイトルにしておいて、今回少しですがまとめてました。


事前の知識として

・電力は貯められない。携帯電話や充電式電池のようにはいかない。電力をためる蓄電池は巨大でコストが高い。電力会社は電力が足りなくなる前に察知し、すばやく電力を供給しなければならない。

・リアルタイムで発電しなければならないので、電力会社はピーク時に柔軟に対応できる発電施設が必要。

・火力発電(石油、石炭、天然ガス、廃棄物、今後一括して「燃料」と呼ぶ)は柔軟に発電できる

・東京、東北、北海道の各電力会社は50hz、それ以外の電力会社は60hzと周波数が違う。(電力会社間での相互融通のために50hzと60hzの周波数変換を行う周波数変換所は3箇所。各最大変換数は佐久間周波数変換所で30万kW、新信濃変電所で60万kW。中部電力の東清水変電所で10万kWだが現在13万kW にアップさせ、また同社の長野県の泰阜水力発電所を50hzに変えて、2万kW 程度の融通を行っている。)


・・・節電は被災地のためにならないという意見

・節電は日本全体に自制ムードをひろげ、日本経済が下降する

・被災地の燃料不足は運輸の問題であり、日本全体の燃料の調達には国家備蓄、民間備蓄もあり問題ない

・被災地の発電所は、燃料不足ではなく設備の破損や震災による自動停止で供給を停止しているのであり、燃料不足が原因ではない

・節電すると電力供給設備を持て余した電力会社は、その維持費を利用者に要求するしかなく、電気料金が上がる

・電力会社の利益が下がり税収が減少するので、歳出から復興に充てられる資金も減少する


・・・節電はためになるという意見

・東京電力が管理する原子力発電所が運転休止だから、必然的に火力発電所の運転で需要を賄うほかない。火力発電所での燃料消費が抑えきれない

・東京電力から協力を要請された全国の電力会社は周波数が違うし、周波数を変える変電所が3箇所しかないので、火力発電所用の燃料を東京電力に送ることになる

・燃料での発電は地球温暖化の元、二酸化炭素が非常に多く発生する

・重油、石油、ガソリンの元、原油はあと40年で底をつく

・被災地へ物資が届き始めるとガソリンやディーゼルでの電力発電に頼り始める

・被災地の工場等が動き始めるとまずは大きなディーゼル発電に頼る。また被災地の多くの病院でもディーゼルなどの自家発電設備で動いている

・つまり全国で節電しなければ、重油の値段が跳ね上がり、被災地の復興に多大なる影響を及ぼす

・全国でで節電に努めれば電力会社間で資源を融通しあうことが可能になり、余った電気を、回すことが出来る

・被災地と関東は、経済、物流、通信、交通等で太くつながっているので節電を実行して、大規模停電による経済ダウンを避けることは、被災地へのマイナス効果を防ぐことと同じ

・上水、下水処理にも電気が消費されるので節水も節電につながる

東京電力下において安定した電力を供給してきた福島原子力発電所等の事故により東電は、不足分を全国の電力会社に協力を申し込んでいます。周波数が違う電力会社からは原油や液化天然ガスが届けられ、やはり火力発電に頼るしかないのが現実のようです。つまり全国規模の節電は燃料を節約することになり、被災地のためになるのです。(将来政府は周波数の違いを無くす為の長期計画に尽力すべきだと思います)。 一大手の石油元売り会社は、被災地で不足しているガソリンなどの燃料の輸送を優先してはいるのですが、日本海側を経由して運ぶので時間がかかること、被災地のガソリンスタンドの復旧が遅れていることから、被災地の燃料不足は深刻です。ここで節電しなければ、被災地の避難所、企業、工場への石油供給にも影響が出るだけでなく、地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素の発生、石油価格の値上がりと、良い所はひとつも無いようです。
 
 燃料を節約することが直接被災地のためになることは分かったのですが、では節電以外に燃料を節約する方法はあるのでしょうか?


・なるべく自動車に乗らないで、近くなら徒歩、或いは自転車や公共の交通手段を使う

・どうしても車に乗らなければならない方は、エコドライブで節約:エコドライブとは…
1.急発進・急加減速しない:ガソリンの消費割合が最も大きいのは発進時です。発進の際は一呼吸おいた後、車の 動きがついてくる程度にやさしくアクセルを踏みましょう。
2.停止中のアイドリングストップ:停止中にエンジンを止めるだけで1分間約28CCのガソリン 節約になります。踏切が下がったらドイツ人は皆寒かろうが、暑かろうが必ずエンジンを切ります。つけたままにしていると「あなた一体環境問題に無関心なの?!」と、にらまれます。
3.不要な荷物は降ろす:車が重ければ当然その分ガソリンも消費されます。参考:www.jaf.or.jp/eco-safety/eco/ecodrive/


 今回呼びかけられた節電及び計画停電のもとの目的は、日本の首都及び経済の中心地東京での大規模停電を避ける為でした。ただ被災者に対して「何かしたい」という国民の気持ちが、関東地方だけでなく全国に節電を広げた原因と言えそうです。被災地の為になるかならないか、節電するかしないかはは皆さんの判断にお任せします。

 
 ただもし私ならどうするかと問われれば、日本全体がが一致団結し、強い連帯感を持って被災地を救おうとしている気持ちのひとつの表れとして、節電し、燃料の節約を心がけます。皆の寄付や物資援助品が被災者の方々に対する直接的支援感情の表現であるなら、それとは別の間接的表現ともいえます。また国民全体がそうすることによって、原発の必要性を問う姿勢を日本政府に示せるからです。今回の原発事故で「これ以上原発は要らない」と思ったのは、私だけではなく全国民なのでは、と思っています。原発については次回に。


追伸 ところでベルマークを集めて、被災地の学校で役立てもらうという方法がありました!www.bellmark.or.jp

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2011年
3月27日

東北関東大震災 -私たちに出来ること-


 この度の東北関東大震災で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。 亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興を祈ってやみません。


私たちに出来ること

私たちが放射線量の浮き沈みや今日の風向きを気にしている現在も、避難を余儀なくされた方々は家族や親戚の消息も分からないまま、歯を食いしばっていらっしゃいます。ご高齢の女性が救出されて避難所にお入りになる際、頭を何度も下げながら「すみません、お世話になります」とおっしゃっていました。燃料や毛布、水にも不自由する環境で「ここにいる皆んな同じだから」、「私なんか恵まれてますよ」とおっしゃるのを聞いて、胸が熱くなると同時に気高さを感じたのは私だけでしょうか。

福島原子力発電所では多くの方が極限状態で働いています。そしてこの方々には家族がいます。避難所で「夫は今福島原発で働いています、覚悟はしています」とおっしゃる奥様、どういうお気持ちでいるのと思うと言葉につまります。一日一食という自衛隊の方々、自治体、消防、警察、NPO、医療関係、介護福祉関係、ボランティアの方々が奔走なさっているのを見ると、本当に頭が下がります。

なぜこんなに広い範囲で一度にこんなに多くの人の命が奪われなければならないのか。これは自分の身には起こらなかった他人事なのか。海外にいる私には寄付や、寄付を呼びかけることくらいしか出来ません。自分の無力さに腹が立ちます。有名人や大会社の億単位の寄付を聞いて「私の寄付なんて知れたものだから」とためらわないで下さい。何か出来るなら是非その場で行動に移して下さい。しかしそれ以外にも出来る事があるのではないでしょうか。例えば...

1・献血する:血液は3週間しか保存がききませんので、一時期に集中しないで定期的に行ってみて下さい。

2・ポイントやマイレージを寄付する
1ポイント1円として寄付してくれます。YAHOO, 楽天、NTT ドコモ、JAL、ANA、ローソン(Ponta)、ファンケル、ニコニコ、TPoint、Mixi、はてな、ECナビ、ヒルトン、本田技研工業(Cカード)、EPOSカード、OMCカード、JCB(Okidoki)、三菱UFJ(三菱東京UFJポイント及び、DCハッピー)、ナック(グリーン)、日本生命(サンクスマイル)、オフィス・デポ、ベネポ、エルネ、メディネット(クリック募金)、セシール(募金額を2倍にして寄付)、などで行っています。義援金詐欺にどうぞご注意ください!

3・被害地にふるさと納税をする

4・被災者の方、被災孤児のお子さんをご自宅に迎えられることの出来る方は、自治体かwww.earthdaymoney.comにご連絡を。

5・無駄な買いだめをしない:手にする品物、燃料は被災地に行くことができるかもしれません。 (被災地以外で)買う->品物が減る->小売店が卸業者に注文する->生産社が回す->被災地に行く分が減る  無駄な買いだめはやめて、この悪循環を断ち切りませんか?尚、買いだめした物が余って困ったら自治体に寄付してください。ご近所や友人と一緒にまとめて送るのもアイデアです。受け付けしていない支援物資もありますので、事前にご確認ください。

6・会社などに残っている景品、タオル、ボールペン、食器などを送る

7・会社の方は現在内定している方に加えて、被災者の方を雇えないでしょうか。

8・風評被害防止のため、自ら率先して正しい情報を集める: 他人の行動や言動、噂、チェーンメール等に流されず、科学的な数値、しくみを知り、レポート用紙に書いたりメモしたりしましょう。無駄な心配や理由のない不安も減少します。

9・節電した分寄付をする:  節電の仕方は…
・ピーク時に電気を使わない(朝7時から10時、夕方5時から8時、夏は午後2時が最大ピーク)。朝や夕方に電力消費が供給を上回ってしまうと突然停電する恐れがあります。東京電力管内(約2000万世帯)での食器洗い乾燥機の消費電力は43万キロワット、洗濯乾燥機は40万キロワットに上り、エアコンを使っている世帯が暖房温度を1度下げると49万キロワット分の電力が削減できるといいます。これらは福島第1原発1号機の発電量(46万キロワット)にほぼ相当します。東京電力の今の供給能力は3700万キロワットなので、その影響は大です。
・電気需要の40%は家庭で消費され、そのうちエアコンが約25%、冷蔵庫と照明で約16%です。
・エアコンの設定温度を1度下げれば10%節電で、年換算で1,170円安くなります
・電気カーペットの温度を「強」から「中」にすれば4,090円安くなります
・冬は厚着をする(フリースの上着、靴下を重ねる、マフラー、レッグ-、足首-、アーム-、ネックウォーマー、腹巻)
・湯たんぽの使用
・夏はエアコン温度を下げる、あるいはセンサードライ
・夏はカーテン、ひさしなどを引いて日光をさえぎる
・冷蔵庫の設定を強から中にすれば11%節電
・冷蔵庫の開け閉めを減らし、置く物の間に隙間をつくる
・蛍光灯を1本外す
・洗濯乾燥機は使わないで干す
・掃除機やエアコンのフィルターをまめに清掃
・便座ヒーターの温度を下げる、あるいは切ってコンセントを抜く
・使わない電気機器のコンセントを抜くだけで節電に。待機電力といい、テレビなど赤いランプが付いて、いつリモコンを押しても対応OKな状態は電力を消費し、電気代の10%を占めます。テレビやビデオのコンセントを抜いておくだけで東京電力管内で38万キロワット分を削減できます。
・各コンセント口にスイッチが付いたものやタップ付き延長コードのスイッチを切ることは、コンセントを抜く事と同様。停電後の再通電時に過電流を防げる物も有
・電子レンジ、コーヒーメーカー、オーブントースターなど、使うときだけコンセントを入れる。使ったら抜く
・電気ポットは使わず、ガスで必要な分だけ沸かす
・どうしても電気ポットを使う場合は水を使用量のみにし、外出時にはコンセントを抜く
・魔法瓶や、水筒、マグボトルを使う(中にお茶の葉、ティーバッグ、コーヒーを直接入れてお湯を注ぐ)
・会社の昼休み中は照明、コピー機、プリンターの電源を切る、1、2階の人は階段を使う
・スーパーやコンビニは開放冷蔵庫に透明のビニールカーテンや、透明のドアをつけて節電する

以上思いつくことを書かせて頂きました。同じようなことを考えていて、もうやってるよ、もうやったよとおっしゃる方もおありと思います。非常に嬉しく思います。もし面倒くさいと思う方がいらしたら是非一度、避難生活を余儀なくされている方の心労、苦労、不安を思ってください。自分がその人の立場だったら一体どういう気持ちなのか、想像してみてください。今ほど「他人の立場になって考える」、「人の気持ちを察する」ことが問われている時はないと思うのです。

病院のベットに寝ている男性が津波のうずに飲み込まれていくのを目撃した女性。おじいちゃんとおばあちゃんが後ろに迫っている津波に気付き、孫に「おまえは走れるから!早く逃げろ!」と叫び、孫の目の前で津波に飲まれた、それを目撃した女性。自動車で避難中、津波がすぐ後ろに迫るので飛び出し、他人の家の2階に走りあがり、その家の娘さんが波に飲まれるのを、その家の方と目撃した女性。津波の中で娘と結んでいた手がはなれてしまい、消息がいまだに分からないお母さん。この方たちの命は救われたかもしれませんが、この体験を、悔しさを、悲しさを、そして家族を、忘れることは決して出来ないでしょう。被災者の方々の戦いは正にこれからです。この大震災を忘れないことは勿論、被災者の方々をいつまでも忘れないでいること、これは我々の義務ではないでしょうか? 名前こそ東北関東大震災といいますが、日本全土の、そして日本人である我々ひとりひとりの問題ではないでしょうか?

最後に。
今回の大震災で、人はこの世にお客さんとしてお邪魔させて頂いているんだな、と痛感しました。人は命を頂いて、生きさせて頂いて、勉強させて頂いている、小さな存在なんだな、と。

避難所で懸命に働く小中高生。「肩もみ隊」と名づけ、避難所のご老人の肩や手を「こってますねぇ」と言いながらもんでいる幼稚園児たち。「この街を絶対に復興させてみせるから!」と、車中泊しながら地元に仮設住宅を建てている男性。こういう方たちを見ると勇気づけられるだけでなく、私にもほんの少し手助けが出来るのではないかと思わざるを得ません。今、なにかしなければ一生後悔する気がします。同じ小さな存在の一員として。 

藤村実穂子

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